第1部は資本の生産過程の研究である。 巨大な資本主義社会の諸現象の内、最も単純な概念である商品の分析から出発する。商品経済は必然的に貨幣を生み、マルクスは第1部冒頭で、「資本」という概念が登場する以前の「商品経済」すなわち市場経済の研究を行っている(資本主義より時間的に前に存在した市場経済という意味ではなく、論理的前提として存在している市場経済という意味)。
機械などの生産手段や貨幣はそのまま資本になるのではなく、ある歴史的条件の下で「資本」に転化することを明らかにする。その決定的な条件が、生産手段のブルジョアジー(資本家階級=生産手段の所有者)の独占と、身分としても所有からも自由となった(排除された)プロレタリア(労働力商品)の存在であった。(マルクスの経済学はリカードなどが唱える労働価値説に立脚し、価値とは労働者の労働時間であるという前提から出発していた)。こうして「自己増殖する価値の運動体」である資本の概念が登場する。資本はいつの時代にも存在するものではなく、歴史的な存在であるとマルクスは本書で主張している。
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資本(その人格化としての資本家)は、労働力商品を購買し、労働者には労働力商品の再生産費分(労働力価値)だけを「労賃」として等価交換し、資本はその労働力価値分を超えて価値を生み出させるように働かせる。この超えた部分が「剰余価値」となり、資本がこれを取得する。等価交換という商品経済の原則を守りながら、生産過程の中で新たな価値を生み出す??これがマルクスが明らかにした搾取(労働力が生み出した価値?不当に低く抑えられた労賃=剰余価値) のシステムである。
資本は「食べるため」「着るため」といった有用目的のために生産を行うのではなく、剰余価値(対象化された不払労働)の追求、すなわち「もうけ」のために生産を行う。したがって、例えばいくら飢餓が生じ、食糧の生産が必要であっても、もうけが生じなければ資本は生産はしない。逆に兵器など社会にとって有害なものでも、もうけが出れば資本は生産する。